中里一の書き下ろし新作小説『完全人型』。
完全人型のご案内
人に似た形をして、人のする作業をこなす機械――「人型」が広く使われている未来。
人型は用途に応じてたくさんの種類がある。それぞれの用途の範囲では、人型は人よりも優れている。頑丈でしかも修理しやすい表皮を備え、バッテリーとモーターは酷寒酷暑に耐える。そのため人型の姿は、人に似ていながらも異なる。
けれどただ一種類、人とまったく同じ姿の人型がある。その肌は温かく柔らかく、その心臓は脈打っている。
その用途は、人に愛されること。